キャタピラー』キャB★

言葉を失う映画. 生ける軍神、化物、黒川久蔵. 軍神の妻、貞操の鑑、黒川シゲ子. その全てに込められている「忘れるな、これが戦争だ! 」というメッセージ. これはもはや単なる反戦映画ではなく、日本人として絶対に見るべき、いや世界中の人間が見るべき映画です. なぜなら「正義の為の戦争などない. 戦争は人殺しである」のだから. 2月にベルリン国際映画祭寺島しのぶさんが銀熊賞を受賞されてからすぐにでも上映してほしいというオファーが殺到したにも関わらず、5月に沖縄、8月6日に広島、9日に長崎、そして14日に全国公開というスケジュールに固執した若松孝二監督. その公開スケジュールにまで固執しただけある監督の執念はこの映画全体を否応なく包み込み、そして観客の心にまで容赦なく届いてくるんですよね. 特にタイトルクレジットと共に四肢を失った久蔵が映し出されるまでの、言葉を失う黒川一家や動揺を隠し切れずに水田で発狂するシゲ子が醸し出す、あの異様なまでの空気を漂わせるOPは鳥肌モノ. それはまるで戦争そのものが異様なものであることを強烈に暗示しているかのようでした. そして四肢を失っただけでなく顔も一部が焼けただれ、耳も片方聞こえないどころか言葉を発することもできなくなった、まるで化物のような軍神・久蔵の旺盛な食欲と性欲に戸惑うシゲ子. その姿は「建前」と「言えぬ本音」の狭間で苦しんできたこの時代の多くの方の姿そのものではないかと思うのです. というのも、例えば銃後を守る婦人たちの竹槍やバケツリレーなどは銃兵や焼夷弾の前では無力であり、その建前を貫けば死ぬということが簡単に分かっていても、それは言葉にできない本音であるように、食べて寝て求めてくるだけの軍神を世話することは「お国のため」という「建前」であっても、化物か夫か分からない生き物に騎乗位で奉仕するシゲ子の当初の戸惑いはまさに「言えぬ本音」なんですよね. ですから前半でシゲ子が久蔵のことを「軍神さま」としか呼んでいないのもその一つの表れではないかと思うのです. でも銀シャリを久蔵と2人で仲良く食べたり、当時高価だった卵を久蔵の顔に投げつけたりした時のシゲ子は笑顔であろうと発狂していようと間違いなく「軍神さまをお世話する妻」ではなく「夫を愛する妻」であり、また「軍神の妻」という建前ではなく「夫を愛する妻」という本音で夫を求めていたからこそ、勃起せぬ夫でも「あんた」と呼べるようになったのだと思うのです. ところがシゲ子が建前ではなく本音で夫に向き合ったように、久蔵もまた介護に疲れたシゲ子の冷たい目を通して自分の過去の中国での蛮行に対して「軍神」という建前ではなく「強姦魔」という本当の姿を見てしまったからこそ、入水自殺という最後を選んだ、いや入水自殺という最後に逃げたのだと思うのです. もし仮に久蔵が話すことだけでも出来ていれば、恐らくシゲ子によって救われていたのかも知れませんが、皮肉にも「言えぬ本音」が彼をあんな結果に導いてしまったように思えました. 1945年8月15日. その日は本音が言えるようになった日. そして本当の自分の姿が分かるようになった日. 「戦争が終わった. 万歳」と笑顔になるシゲ子、池に映った醜い自分の顔を知った久蔵. 忘れるな、これもまた戦争だ. 深夜らじお@の映画館 は8月15日正午には黙祷を捧げます. ※お知らせとお願い ■8.21 【元町映画館】 いざ開館! ■ 【ABCアシッド映画館】 の復活を. イメージエポックは、8月25日に発売するPSP用ソフト『ブラック★ロックシューター THE GAME』の公式サイトで、新たなページを公開した. 『ブラック★ロックシューター THE GAME』は、イラストレーター・hukeさんが手掛けた1枚のイラストから始まり、ニコニコ動画などを中心に人気を博しているコンテンツ『ブラック★ ロックシューター』をもとにしたRPG. ゲームの舞台は西暦2051年. 2032年にやってきた"とある者"により人類が滅亡し、残りわずか12人になってしまうという、アニメ版などとは異なる設定で物語が展開する. 公式サイトには本日、これまでのプロモーション映像をまとめた"MOIVE"ページが設置された. まだ見ていない映像がある人は、早めにすべてを見ておこう. なお来週は、10日と11日に公式サイトを更新するとのことだ. Twitterアイコンの配信もスタート. 欲しい人は公式サイトへアクセスしよう.